介護サービス業の人事考課制度3
人事考課制度導入上の課題
人事考課制度は、介護サービス事業所においては、ぜひとも、導入したいシステムですが、導入から運用に至るまでには、さまざまな課題が発生するものです。
多く見受けられるものとして、次のようなケースがあります。
考課者の評価スキルによって、評価結果にバラつきがでてしまう。
仕事ぶりの適正な評価を望む職員が多い一方で、評価結果に対する職員の納得度が低く、考課者の資質の向上が大きな課題になっている事業所は多いようです。考課者に対する研修を定期的・継続的に実施し、考課結果の均一化に努めましょう。また、相対評価として、同僚や利用者の評価を考慮に入れてもよいでしょう。
パートや登録ヘルパーなどの非正規の職員に対して人事考課制度をどう構築していくのか分からない。
パートや登録ヘルパーにも、モチベーションが高く、やりがいを持っている方が少なからずいるものです。まずは、正規職員への登用のルールづくりから始めてみてはどうでしょう。非正規職員でも長期雇用できる仕組みを作ることは、人材不足解消にもつながります。
人事考課制度を導入することで、職員によっては、給与が下がるものが出てくる。職員の理解を得るのが難しい。
人事考課制度の導入にあたっては、職員の協力が欠かせません。導入に際しては、十分に時間をかけて、研修を実施するなどして、職員への啓発を行いましょう。また、現在の制度から新制度への移行に際しては、経過措置を設けるなど、2〜3年かけて緩やかに移行させることで、ソフトランディングに努めましょう。
制度が複雑そうで、ウチの施設で、キチンと運用できるのか不安がある・・・。
人事考課制度は確かに、さまざまなルールづくりが行われるため、複雑なように感じられるかもしれません。前ページ図のように“見える化”してみると、その仕組みはいたってシンプルなことが分かります。また、運用がうまくいかないことの理由はさまざまですが、その多くは、職員が制度本来の目的を理解しておらず、やらされ感を持つところからきていることが多いようです。最初から直ぐに完璧な人事考課制度ができるものではありません。運用を何年も繰り返す中で、その事業所に合った、オリジナルの制度を経営者と職員が協力して、少しづつ作り上げていくものであると、理解されたほうがよいでしょう。
キャリアパス制度や教育訓練制度と一体的に人事考課制度を運用したいが…
キャリアパス制度・教育訓練制度・人事考課制度はそれ自体単独の制度として考えるのではなく、互いに密接に関連させ、一体的に運用することが可能であり、そのほうが効果的です。特に、キャリアパス制度に関しては、従来の昇進・昇格の制度をより職員に対して、具体的に将来展望が見えるかたちにしたもので、ぜひ、取り入れたいところです。
資料のご紹介
ここまで、人事考課制度について、ご紹介しましたが、人事考課制度といえども、その効果は万能ではありません。人事考課制度を導入しただけでは、職員を育成・成長させるための仕組みづくりとしては、不十分でしょう。
将来にわたり、介護職員の育成・定着を考えていく上では、キャリアパス、コミュニケーション、ワークライフバランスといったさまざま施策を取り入れていくことが、必要でしょう。
当ホームページでは、職員を育成・成長させるための「働きがいのある職場づくり」について、そのヒントなる事例を集めた小冊子を作成いたしました。
現在、職場改革に取り組まれている介護サービス事業所の方の他、これから取り組もうという方も、ぜひお申込下さい。
小冊子「介護サービス事業所の働きがいのある職場づくり」
内容目次
- 職場づくりその一 適性人材の採用と求人活動
- 職場づくりその二 ES調査の活用
- 職場づくりその三 新人職員のOJT
- 職場づくりその四 目標チャレンジ制度の導入
- 職場づくりその五 人事考課制度の導入
- 職場づくりその六 中間管理職の育成
- 職場づくりその七 コーチングスキルの活用
- 職場づくりその八 職場のトラブル防止対策
- 職場づくりその九 キャリアパス制度の導入
- 職場づくりその十 職員を安心させる就業規則
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